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 一つ一つの動作にちくちくと文句をつけられ、偉そうに説教をされながら、義人は持ち物をほとんど取り上げられ、灰色の囚人服と簡素なサンダルだけを身につけた。状況がよく分からないうちに狭い部屋に追い立てられ、背後で重い扉が閉まる音が、冷たく全身を貫く。それと同時に、自分を取り巻くこの灰色の壁が人生の終着点であること、二十歳の若い魂は人生という重い圧延機にはさまれめちゃめちゃに壊されてしまったことを、彼は悟った。生きる望みが、全て消え失せた。 「もう終わりだ・・・俺の人生なんか!」 くたびれた両拳で、重い扉をむなしく叩いてみる。部屋に蹲っていた数人の囚人が、冷たい視線を投げかけた。  がさがさの畳に膝を落とし、髪を刈り取られた頭を抱えると、苦々しい虚無感が襲う。しかし、彼の本当の試練はここからだった。  服役囚としての生活、想像を絶する苦役の日々が始まった。絶望、屈辱、羞恥、恐怖が、青年の心を徐々に食いちぎり、破滅させた。毎日寸分の時間の狂いもなく執り行われる起床、点呼、食事、労働、就寝、そのすべてが苦しみに他ならない。無機質な番号で呼ばれるたびに吐き気を催し、隊列を組んで角張った行進をしながら雑居房から作業所へ移動するときは眩暈に襲われ、徹底的な身体検査を受けながら、死にたいと本気で思った。しかし、どうしたら死ねようか?囚人は、ロープ一本さえ手に入れることができないよう、厳しい監視のもとに置かれていた。窓から投身しようにも、それは体をくぐらせることができないほど小さかった。もう死にたい、生きていても何の意味もないのだと狂ったように桟にしがみついても、この苦しみの呪縛を解いてくれるであろう地面は、決して届かない場所に、徒に横たわっているだけだった。  
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