ショッキングシンキング

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「えと、この複雑な道に入る前にある動物の置物を見るの」 そう言って詩恩は画面の地図にある信号を指差す。 「この辺だったと思うけど、その、動物の向いている方向に真っ直ぐ歩くと着くって優太君が教えてくれて」 「なるほどな」 いくら詩恩が方向音痴でも真っ直ぐ歩くだけなら問題ない。 優太、グッジョブ。 しかし、ここで一つ疑問が浮かぶ。 「で? その動物ってなんだ?」 動物の置物なんてけして珍しくはないので、念のために確認。 すると、詩恩は目を瞬かして首を傾げた。 「あれ……え、あー、あれ?」 「ん? どした?」 「あ、あの、えと、なんて名前だっけ……」 「おいおい……」 ド忘れとはさすがとしか言えない。 辛抱強く恭也は詩恩が思い出すのを待つが、さっきから詩恩は頭を抱えて唸ってばかり。 次第には涙目。 大人なので泣くのだけは自重してもらいたい。 「いや、分からないならもういい」 「ま、ま、待って! えーと、えーと、あ」 そこで詩恩はテーブルの上にあったチラシに目をつける。 そのチラシを裏返し、近くに置いてあったペンを手に取る。 「あ、あの、えと、じゃあ今からその動物の絵を描くね」 それは名案。 こっちがその動物を分かれば万事解決。  
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