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「誰なの…?」遙の目に飛び込んだのは、おかっぱ頭の若い女だった。
白い開襟シャツにジーンズを身につけている。
母親の寝室には本棚や家具が所狭しと並び、真ん中にシングルベッドが置いてある。
遙と同じ背丈ほどのその痩せた女は、ベッドに腰掛けていた。
吊り上がった大きな二重の目に、小さな鼻と小さな口。
真っ黒な髪に真っ白な肌。
女は遙を仰視しながら、その小さな口を開いた。
「ママなら、いないよ」女の声はとても幼じみていた。
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