1 とある神様と稲荷寿司

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「ねぇ‥、馬子にも衣装って」 「絢音殿が巫女服を着た時には、そう言って誉めてやれと瑠威<ルイ>殿に言われたのだが ‥喜ばないのか?」 「‥‥。」 瀬良 瑠威<セラ ルイ> 頭脳明晰、容姿端麗。非の打ち所がないと謳われる私の兄。 っが、私は思う。‥あれは甘いマスクを被った悪魔だと。 っというより‥ 普段、人間を信用しないシオンが、なぜ瑠威兄の嘘くさい言葉を素直に信じるのか。 ‥全くもって謎なわけで。 はぁ‥と、私は自然に溜め息を漏らすのであった。 「‥、もうシオンなんか知らない」 「あ‥絢音殿―」 スタスタと歩き始める私の後ろを、無表情のままシオンが着いてくる。その声は、どこか焦っているように感じた。 でも‥。 瑠威兄もシオンも、今回は絶対許してあげないんだから! 「謝ったって、許してあげないんだから。瑠威兄もシオンも、こんな大事な日に、私をからかって」 「その先は―」 「‥え?」 _
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