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「ねぇ‥、馬子にも衣装って」
「絢音殿が巫女服を着た時には、そう言って誉めてやれと瑠威<ルイ>殿に言われたのだが
‥喜ばないのか?」
「‥‥。」
瀬良 瑠威<セラ ルイ>
頭脳明晰、容姿端麗。非の打ち所がないと謳われる私の兄。
っが、私は思う。‥あれは甘いマスクを被った悪魔だと。
っというより‥
普段、人間を信用しないシオンが、なぜ瑠威兄の嘘くさい言葉を素直に信じるのか。
‥全くもって謎なわけで。
はぁ‥と、私は自然に溜め息を漏らすのであった。
「‥、もうシオンなんか知らない」
「あ‥絢音殿―」
スタスタと歩き始める私の後ろを、無表情のままシオンが着いてくる。その声は、どこか焦っているように感じた。
でも‥。
瑠威兄もシオンも、今回は絶対許してあげないんだから!
「謝ったって、許してあげないんだから。瑠威兄もシオンも、こんな大事な日に、私をからかって」
「その先は―」
「‥え?」
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