0人が本棚に入れています
本棚に追加
感じるのは、熱の温かさ。
頬を伝う涙の雨。
遠くへ逃げようと走る自分。
追い掛けてくる者は居なかったが、それでも己の恐怖心を煽るには十分だった。
「っ…はは…さまっ…とと…さま…」
父は死に、母が消え。
追われる身となった自分に戦うすべなどない。
(どこか…かくれるところ…)
幼き自分には、隠れるという選択肢しかなかった。
同時に、
「…もっと…」
もっと、強く。
強くなりたい。誰かを、守れるくらい、死なせないくらい、強く。
強さを求めるようになった。
最初のコメントを投稿しよう!