飼われたイヌ

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一瞬、手が止まる 俺は何をしているんだ? こんなヤツに構う必要はないだろう。何時もなら構わず立ち去るのに どうして俺はこいつを助けた? 『おい!!てめえ、人の話聞いてんのかよ!!』 突然、肩を掴まれた ……うるせぇな 男の溝尾に肘を撃ち込む くの字に身体を折り曲げる男の胸ぐらを掴み無理やり立たせる そして顔を近付け 「…失せろ」 俺の言葉に一瞬キレた様子だったが、目が合うと舌打ちをして去って行った 去り際に机を蹴り倒して行くことも忘れずに 男が消えたのを確認していまだに収縮しているそいつに向き直る 「………………」 のばした手はもう身体の脇に戻っている 声をかけるつもりもない だが ここを出ていくつもりも無かった ただずっとそいつの側にいた 小さな身体を震わせる背中を抱き締めてやりたいと思う自分がいた 急に湧いてきた この感情を何処にやって良いか 俺には分からなかった… ・
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