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ご飯も食べ終えて、教室へ戻ります。次の時間は、あまり得意ではない体育です。
「…体育ですか…むむ…」
着替えをしながら、あまり複雑な動きをしない競技を祈ります。バスケットボールとかは、とても難しいです。
「え?春川って体育苦手なの?」
「はい…あんまり体を動かすのが得意じゃないんです…どうも動きがゆったりしているようで。」
「あー…確かに。なんかひとつひとつの動作を一所懸命やってる感じする。」
美月君は素早く着替えると、僕と話をしながら周りの人の着替えを連写しはじめました。
「うーん…さすが佐原。俺達とは筋肉が違…佐原ーーー!」
狼牙君を観察していたらしい美月君は、急に叫び出して狼牙君に飛びつきます。
「…奈良?どうかしたのか?」
「佐原…背中の爪痕どうした?」
「は?」
そこで、隣にいた美上君が顔を真っ赤にしました。…ふたりは気づいていないようです。
「だ、か、ら!この爪痕は誰がやったのかって聞いてるんだよ!」
デジカメの画面を狼牙君に突きつける美月君。それを見た狼牙君は、少しびっくりしたようで、あまり変わらない顔の目が少し開きました。美上君は、さらに気まずそうに顔を下に向けます。
「…美上君、大丈夫ですか?」
今美月君に見つかると大変なことになりそうなので、着替え終わっていた美上君を連れて先に体育館へ移動します。
「…はあー…ありがとう。春川。奈良のやつさ、ときどきあーゆうの見つけては周りのやつに鼻息荒く詰め寄るから気を付けてたんだけど…」
「気を付ける?何をですか?」
「え?だから…爪とかキスマー…って…春川って副会長と付き合ってんじゃないの?」
「え?えっと…はい…」
急に話を振られてびっくりしましたが、ちゃんと答えることが出来ました。…恥ずかしいですけど。
「…この調子じゃまだかな?」
「何がですか?」
「春川って、副会長とキスしてる?」
「へ!?…は、はい…」
「どの位の間隔で?」
「…朝と、寝る前…だから、えっと…12時間くらいですかね?」
「…まさかの時間単位…日でくると思ったのに…」
意外だとものすごくびっくりしている美上君。…そんなに驚くことですかね?
「じゃあ…キスマークってつけられたことは?」
「キスマーク?」
「…ここまでか。よし、ちょっと副会長を慌てさせてみようか。」
美上君が、ニヤリといたずらっ子のような笑みを漏らしました。
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