色つき桜

20/21
前へ
/173ページ
次へ
桜が腕をしっかり回したのを確認すると、俺はゆっくりと桜の中を開いていった。 「あ…くっ…」 「…っきつ…息を詰めるな…吸って…吐いて…」 予想以上に中はキツかった。痛くはなさそうだが、圧迫感に息が止まっているようだ。一旦動きを止め、桜の背中を撫でた。 「は…ぁ…ふ…」 まだ浅いが、息をすることができたようで中も強張りがとれた。今のうちにと思い、根元まで一気に仕舞う。 「っああぁ!」 「…っ…桜、すまん。これで全部入ったから…」 はっきり言ってそのまま動かしそうになる。しかし、このまま動けば桜は呼吸困難になりそうだ。仰け反った背を優しく撫で、抱きしめる。 「…慣れるまで、このままにするから。安心しろ。死ぬことはないから。」 「あぅ…は、ぁ…つばきくんがなかにぃ、ぅ…あつくて…おっき…」 「ッバカ…!」 煽るようなことを言うんじゃない!危うく思い切り動きそうになって、大きく息を吐く。 「はっ…」 マズイ…今何か刺激があったら… 「つばきくん…ぼく、うれしぃ…」 っ…!!この…っ 「もう我慢出来ん…動くぞ…っ…」 「っは、あああぁ!」 ガリッと肩口に痛みを感じて我に返った。 「っ…すまない…桜…っ」 「いぇ…大丈夫です…」 まだどちらも終わっていない。桜は分かるが、よくもっているな、俺。…先ほどの痛みは、桜が思わずやってしまったようだ。かなり思い切り噛み付いたようで、唇に少し血が付いている。 「俺は、そろそろなんだが…」 「あ、ぼくも、です…」 「…これで、終わりにするぞ?」 「は、い…」 今度は、肩も背中も痛まなかった。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3791人が本棚に入れています
本棚に追加