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僕は高等部の3年で、椿輝君に勧められてコンクールというものに出場しました。僕は、自作も含めて6曲しかできません。しかも、有名な曲は一つもできない。それでも僕が良い賞をもらえたのは、どんな曲でも素晴らしいと思えるものなら何でもいいという、変わった主催者のおかげでもあります。
「椿輝君!起きてください!早くご飯たべないと、会社に遅刻しちゃいますよ!?」
「んぁ…桜…昨日は日帰りでイギリスに商談で行っていたんだぞ…少しくらいいいじゃないか…」
朝日の降り注ぐ窓の大きなベッドルームの、キングサイズのベッドの中、僕の大好きな人がゆっくりと起き上がります。
「もう!僕も今日はレッスンがあるって言ったでしょう!」
「…そうだったな。すまない。」
「それはいいから、早く食べて会社に行かないと!秘書さんに怒られますよ!!」
「それは嫌だな。あいつは仕事を増やしたがる。早く準備をしないと。」
椿輝君は素早くクローゼットへ行き、あっという間に世間で騒がれている若きイケメン取締役へと変身します。
「今日のジャムは?」
「昨日がママレードだったので、今日はいちごです。」
「桜もいちごが好きだな。一緒に食べよう。」
「はい!」
焼きたてのパンにふわふわのスクランブルエッグ、彩り鮮やかなサラダ。今日も一日が始まります。
「「いただきます。」」
笑い合いながら朝ご飯を食べると、急いで仕度をして家を出ます。時刻は現在6時半。少し早いように思われますが、僕たちにとってはこれが普通です。
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