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自然と弾くのも止めてしまいます。
「…そこにいるのは誰ですか?」
「…」
警戒心丸出しで聞くと、少し気まずそうに出てきたのはこの学園の副会長、氷冬 椿輝(ヒトウ ツバキ)さんでした。ちなみに同じクラスです。
「…なぁ…」
「何ですか?」
「お前の演奏聞かせてくれないか?」
…あれ?いつもは最も丁寧で気持ちの悪い笑顔を浮かべている方なんですが…これがほんとの顔ってやつですかね?
「…いいですよ。でも、邪魔はしないでください。」
「わかった。」
案外素直に頷いてくれました。副会長が桜に寄りかかるように座ります。
「~♪」
僕はそちらを一瞥すると、何もなかったかのように再開します。
あぁ…幸せです。こんなに綺麗な場所でヴァイオリンを引くことができるんですから。
「~♪」
結局、1時間も弾いてしまいました。その間、副会長さんは身じろぎもせずに座っていました。
「あの…寝ちゃってますか?」
ヴァイオリンをケースに入れてから肩を揺すると、その手首を捕まれた。
「…名前は?」
「は…春川桜です…」
「覚えた。」
そういうと副会長さんは去っていってしまった。
「…?」
意味がわからないです。
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