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「…春川…桜…」
名前だけを聞くと、俺たちの所属しているグループ"Flower"の一員にも聞こえるが…
「あれは絶対無いな。」
俺は、生徒会室で仕事を完璧にこなしながら昨日の夜に会った桜の精について考えていた。
「…あの場所にいるくらいだから、きっと在校生だろう。」
ここはセキュリティが無駄に強すぎる春夏秋冬学園である。まず侵入するのは無理だろう。
「後で生徒記録でも検索してみるか…」
そう結論付けると俺は考えることを一旦止め、頭を働かせなくてはいけない仕事に取りかかった。
Side 生徒会その他
「…ねぇ…のばら?」
「なぁに?たんぽぽ」
「副会長さ…」
「うん」
「おかしいよねぇ~?」
見た目がそっくりな小さい男子2人が、円形に設置してある机の反対側に目を向け話している。
「…まぁ…仕事はちゃんとやっているからいいか…」
その様子を、生徒会室でフロアより一段上の位置にある生徒会長用の執務机に見ているのは俺、生徒会長の夏嵐 太陽(カラン ヒマワリ)だ。
…こんなところで自己紹介を入れるなだと?そうしたら、二度と名前が出てこない可能性しか残っていないはずだ。許せ。
…ちなみに、先ほどのそっくりな男子2人は双子で、名前を書記の春風 のばら たんぽぽという。そこで独り言をぶつぶつ呟いているのは、生徒会副会長の氷冬椿輝だ。あと一人いるが、これがわが校の生徒会だ。…
グループ"Flower"の幹部でもある。その辺りはまた今度だ。
それにしても…
「…流石にそれは止めろ。」
椿輝が机を叩き割ろうとしていたので止めた。考え事が頭から離れないようだな。
「代わりにこれを割れ。」
取り出したのは大量の瓶。食堂のおばちゃん達から預かってきたもので、色分けさえすれば何をしてもいいと言う。
「…っ!!」
小さく息を吸った音が聞こえたかと思うと、次いでパリンという大きな音が一度だけ聞こえた。そちらに目を向けると、
置いてあった瓶が、丁度いい大きさのカケラになっていた。
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