7.ギルドマスター。

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「ところで、あんた。この街じゃあ、見ない顔だねぇ」 ……そして、また話題が変わる。聞きたいことだけを聞いてる系のやつだろう。いいようにされてむかつくが、危険人物は刺激するべきではない……が、すでになんだかエンジンがかかっているような……とにかく答える。 「……まあ、最近来たばかりなんで。でも、こっちだってあなたのこと見かけませんでしたよ?」 「そりゃ、今まで出かけてたからね。お役目ってな面倒さ」 お出かけ。お役目。……うーん、どこかから出張帰りの、重役の人、か? はい関わったら面倒そうな人確定と。もうなりふり構ってられん。 「そうですか。……それじゃ、これで顔見知り、ということで。またどこかでお会いしたときはよろしく。では失敬──」 「まあ、待ちなよ」 「ぐげっ」 ダメですか……。 再度首根っこをつかまれる。喉に来るのでせめてもっと別のとこつかんでほしい。 げほげほしてると、どこかすっきりした様子の女が、上……方々の屋根で回り続ける風車を見るともなく見て、言った。 「──この街の風はいいね。やっぱり。あんたもそう思わないかい? エーヴェ・ムゴー君」 「……」 こいつ、俺の偽名を……やはり初めから知ってて接触してきたのか。なぜ? 滔々と女は続ける。 「“うち”のギルドへ入るんなら、“洗礼”を受けてもらう必要があったんだけど……あの子が許したんだろう。ま、それはいいさ。今から、やるんだし」 洗礼……確実にいい意味のものではないのだろう。 なぜなら、こちらの(偽)名を呼んだあたりから、少しづつ危ない予感が大きくなってきているからだ。 「おっと、名乗ってなかったね。 あたしはギルド“すきま風”のギルドマスター、アイラ・エルギメフさ」 ギルドの、マスター。まあ偉い人だろう。 そういえば、ギルドではそういう上役みたいな人を全然見かけてなかった。 その女が獰猛に笑い、殺気の圧が膨れ上がる。 「──ようこそ、あたしのギルドへ。それじゃ始めようか。 あんたの力を、あたしに見せなァ!!」 いや、なんでですか?
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