7.ギルドマスター。

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「ははは、人探しとは朝から大変ですね。それでは失敬」 答え、にげる。 そういうことで、俺はさりげなく退散することにした。 やっぱこれだね。たたかう とか脳筋っしょ(笑) 「ちょい待ち」 「うぐっ」 し か し  ま わ り こ ま れ て し ま っ た ! いや、まわりこまれてはいないが、襟根っこを掴まれて引き止められた。力が強い。 「げほ、……何すか急に」 「逃げんじゃないよ。話の途中でしょうが」 くそ、さすがに露骨すぎたか。 警戒してるのが伝わってしまっては仕方がない。プランBに移行する。 答えその2、話しかける。 「……人探しって言いますけど、それじゃ、どなたをお探しなんです?」 「ん、それなんだけど……ああ、そう」 やっと思いだした──というよりは思いついた──ような感じで、彼女は言葉を継ぐ。 「このあたりじゃあんまりないタイプの使用人の服着て、やけにむっつりしてて、目つきの鋭い女の子、知ってるかい?」 そんなのこの街じゃ受付嬢さんしかいなくないか? ていうかあのメイド服、やっぱ珍しいかんじなんだ。コスプレ感で恥ずかしくなったりしないんだろうか。ギルドの方を指しつつ答える。 「あー……それなら、たぶんあっちのギルドで受付をしてましたよ」 「そうかい。……じゃ、あんたから見て、その子のことはどう思う?」 「は?」 「いいから」とせかしてくる女。そいつを探してたんじゃないのかよ。 明らかに何か企んでいるが、まあいい。話しかけてしまったからには答えよう。 受付嬢さんの印象は……メイド服、わりと読み取りやすい無表情、次の日もメイド服、人を笑ってきやがる、依頼書の処理がすばやい、いつもメイド服…… ……あとは、さっきの…… 「黒い魔剣の男……」 「あん? 今、なんて──」 おっと。頭の中のつぶやきが漏れてしまっていたようだ。 考え事してるときに独り言してるの傍からだとちょっと怖いよ(幼馴染)とか、キモいわ(取り巻き2)とか、うわ(取り巻き6)とか、気持ち悪い(取り巻き2)とかよく言われたな……まあ、うん。癖はそう簡単に治るものじゃない。 「ああいや。黒い、ま、まけ……負けんず嫌いな一面が、ある人だなぁー、とか」 「……そうかい」 なぜかにやりとして、それだけの返答をした女。 不敵な笑みが、先ほど感じていた嫌な予感を加速させる。
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