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――
天を仰ぎ、りさは教室の窓から手を伸ばした。
「りさ、何見てるの? 」
「見ろ亀山、
すげー、すげー雪じゃ」
りさに背後から声をかけた男子生徒は“亀山”という。
彼は丸夫とりさの友達である。
亀山はおっとりしている男の子だと、りさ達は認識していた。
「本当だ。
こんなに早く降るなんて珍しいね。
天気予報でも言ってなかったよね」
「そうじゃ。
だからすげー雪じゃ」
りさの言葉使いは、定期的に変わる。
今回は何に影響されたのだろう?
と亀山は思った。
だが、突っ込まない。
語りはじめると長いからだ。
「みねか、大丈夫かな・・・」
「わしにもわからん。
兄上の思考は全くもって読めんのじゃ」
「・・・そうだよね。
上手くいくといいね」
「お主っ、それは誠か? 」
・・・・・・
「・・・・・・」
「すまぬ、亀山・・・」
「いいって。
やっぱり、りさはわかってたんだね」
亀山が明るい声でそう言うと、
りさは彼の方へ顔を向けた。
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