ぼくのなみだはきみのなみだ

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ぼくのなみだはきみのなみだ

はぁ、はぁ、はぁ。 すーはーすーはーすーはーすーは。 ペナ島太郎は興奮していた。 それもどうしようもない程、興奮していたのだ。 今、ペナ島太郎は愛する“竜宮みねか”の部屋に侵入しているからだ。 初めて入る彼女の部屋。 数着の洋服がかけてあるハンガーに、 シックな机、灰色のカーペット。 テレビやDVDデッキなどの電化製品は黒。 2つある収納棚木製で統一されており、中身はほぼスカスカだ。 まるでラ……いや、ビジネスホテルに毛が生えた程度のシンプルな部屋だったが、唯一可愛らしい物があった。 ベットの上に置いてある熊の人形、それがペナ島太郎の心を猛烈にくすぐったのだ。 なんて可愛らしい部屋だっ。 まるで、荒野に咲く一輪の花だ!! そうさ、こういう慎ましい可愛らしさがいいんだ。 と思いながら見渡した。 恋は盲目である。
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