竜宮伝説

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ペナ島太郎が大胆にドアを開けると異様な光景が目に入った。 12畳程の広さの和室に、大きな横長テーブルがある。 そこの両側に6人づつ座っているのだ。 そこまではまだいい。 全員がどうみてもレイヤー(コスプレしている人)だからだ。 「ようこそ、竜宮城へ」 着物の女性が立ち上がり、丸夫逹に頭を下げた。 丸夫はどう反応していいかわからなかった。 「2名で。 ここで指名するんだ。 変わってるね」 「飲み屋か何かと思われたのでしょうか。 残念ながら、私達は人間ではなく亀でございます。 お礼の品をお渡しするくらいしかできません」 「僕は構わないよ、擬人化、望む所だ」 「あの、お礼の品って何ですか? 出来たらお酒がいいんですが」 丸夫が口を挟んだ。 「お酒? それは奇遇ですね。お酒ではございませんが、飲んだ感覚は近いと思います。 海人っ」 「よろこんでっ!! 乙姫様、キンキンに冷やしておりますぞ」 海人という白衣の男が、2つの瓶を乙姫に渡した。
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