ぼくのなみだはきみのなみだ

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侵入は下劣な行為である。 とはペナ島太郎は思わなかった。 何故なら、みねかは去年転校してきた“丸夫”という男子生徒の事が好きな様子で、彼女の恋を応援するのが彼の生きがいだからだ。 僕は君の為に不法侵入をしているんだ。 これは極秘任務なのだよ。 ―きみのしあせはぼくのしあわせ― なのだから。 ある日、ふと疑問に思った事がこの行為のきっかけだった。 僕は丸夫の事を何も知らない。 本当に彼はみねかに相応しい人物なのだろうか? 早速机の物色を始めようとした所、 すぐに“日記”と書いてあるキャンパスノートが目についた。 この部屋からノートを持ち出す事は限りなく不可能な事だ。 早速壁掛け時計を確認し、彼は安堵の溜め息を吐く。 時計の針が16時を示していた為からだ。 ここ最近、みねかの帰宅時間は18時を過ぎている。 つまり、安全。 その理由まではペナ島太郎は知らなかった。 はーすーはーすーはーすーはーす。 彼は日記をゆっくりとめくりはじめる。
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