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私、早見あずさは地味という平凡を極めた人生を今まで15年間送ってきた。同性の人間とたくさんいろいろなことを話し…いや、話せなかったから地味という平凡な人生だったんだ。人並みに話しあったといえば話しあったのだろう、でも自ら話題を振りまくことができずただ頷くだけだった。
それではいけない…変わりたい
そう思って4月の入学式を楽しみにしていた。髪型もツインテールにした。積極的になれるようにイメトレもしていた…誰にも言えないが。
その時に気づけばよかったのだ、練習なんて無駄だったといいことを…。気づけばこんなことにならずに済んだというのに。
「あずさー!今日は生徒会執行部の所にサポート行くぞー!!」
放課後の私立天の笠高校1年C組にやたら拡張した声がこだまする。当然だ、メガホンを使っているのだから。そしてそんな先輩の奇妙な行動を女子は見逃さない。
「ねぇねぇ…あずさ、もしかしてあの人が部長?」
「嘘!?まあまあイケメンじゃん!…え?なに、もしかしてあずさー…好みだったからあんな意味不明な部に入ったのー!?」
わたしの数少ない友達、新沼理奈と新井桃華がわたしのことをはやし立てる。うう…は、恥ずかしすぎて何も言えない。
「あーずーさっ」
「ひゃうっ!」
わたしの入ってる部、雑草部の1つ年上の先輩…海園未来がニコニコしながら目の前に来る。
こ、これは…
「近すぎますよー!!」
先輩はそのツッコミを待ってましたと言わんばかりの笑顔をしてわたしの前から少し遠ざける。いい人なんだがなんていうか…無神経の鈍感男なのだ。
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