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【K】
王子様。
綺麗な顔で俺を覗き込むその人は
前に会ったときよりキラキラ見えて…。
そりゃあ、そうか。
この人は、
俺がずっと会いたかった人。
陽の照りつけるグラウンドしか知らなかった俺に
夜空を与えてくれた人。
「会いたかったです」
そう言った声は、
泣き声のように情けなくて
「君が、はちみつちゃんなんだね」
そう微笑まれた瞬間
息の仕方を忘れてしまった。
「俺、ちょっと急ぐからごめんね。またあのお店で会おうね」
すれ違いざま
俺の肩にポンと手を置く。
うまく言葉も出なくて
俺はなんとか会釈で返した。
会ってしまった。
Aさんに。
あの人が、Aさん。
ああ、俺いま
幸せすぎる。
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