0人が本棚に入れています
本棚に追加
今日のお客様は、シルビアが『拾ってきた』と言う30を少し過ぎた位の男性だ。
名前はレイモンドと言うらしい。
『ラフィネ、こいつはどうだ?』
モスグリーンのスーツに、薄汚れた白いワイシャツ、同じく、シルビアに引きずられて土の着いた白のパンツの男が、なにか不安そうにこちらを見ている。
『初めましてレイモンドさん、私はラフィネという者です。そして貴方の隣にいるのが、私の妹で貴方をここに召喚した、シルビアです』
『あ……あの、ここは』
辺りをキョロキョロと見回しながら、男が小さく口を開いた。
『あなた方の世界で例えるなら、生きている世界と、死んだ後に行き着く世界の、ちょうど中間地点といった所でしょうか?』
『つまり、お前は死んだんだ』
『シルビア……黙っててくれませんか』
『……死んだ、僕がですか?』
パタパタと自分の体を触りながら、訝しげに首を傾ける。
そりゃ、突然自分が死んだと言われても、ハイそうですかとすぐに納得する人間など、そう居たものではないだろう。
彼の反応は、至極正常と言える。
『うーん、『死んだ』というのは少し事実とは異なりますかね』
最初のコメントを投稿しよう!