12章

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ここは商業ギルドのコルツの部屋。 「…まさか、こんな手に出るとは…」 そう言う司は力無く項垂れる。 「…………。」 コルツも同様に、ただただ項垂れるばかり。 順風満帆に進んできた司を、何がここまで落ち込ませているのか。 …その答えは、今朝の出来事だった。 いつもの様に貴族用の商品の打ち合わせをする為に、司はコルツの部屋を訪れていた。 順調に物事が運んでいるからか二人の表情も明るく、軽い冗談を交えながらの打ち合わせだった。 和やかに進む話し合いの途中、不意にドアをノックする音。 今日は朝から司との打ち合わせの為、コルツは面会の予約は入れていない。 急な来客にしては、一階の職員からの連絡も無い。 コルツは訝しく思いながらも、何度となくノックされるドアを開けた。
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