ヒーロー見参! ただしボロボロ!

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「休み時間は本来、次の授業に備える為の時間だし。私が壱岐くんの質問に答えてあげる理由も、ない訳だし」 「そう言わないでさ。委員長の鮮やかなマニュアルを聞かせてよ。委員長が危険な動物に襲われたらどうするのか気になって、授業に集中出来ないんだ」 委員長――石井しづかは、僕の詭弁に顔をしかめていた。 けれど、マニュアルを持ち上げつつお伺いを立てた質問には、そう悪い気がしなかったらしく。 したり顔で「確かに、授業に集中出来ないと困るし? そこまで言うなら教えてあげるし」と言っていた。 「そうね……逃げるも向かうも出来ない状態がいい?」 「うん、それがいい。それは面白そうだ」 「じゃあ、まず持ち物を確認。そして、相手を観察する」 「うんうん」 「で、相手が興味を示しそうな持ち物があればそれで気を引いて、こちらから目を話した隙に逃げる」 「……普通じゃん」 「マニュアルだし」 「じゃあさ、相手の興味をそそりそうな持ち物がない場合は?」 「動かない。出来れば目を合わせて」 「……普通じゃん」 「マニュアルだしね」
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