5人が本棚に入れています
本棚に追加
思い出した。
言ってた言ってた。
委員長が隣の席で本当に良かった。
持ち物を確認。
ランドセルは鈍器さながらに重いけれど、筆箱や教科書、あとはノートぐらいしか入っていない。
聞いた話では、ヒーローの知識レベルは低いという。
教養の素を欲するとは、到底思えない。
給食袋には食べ切れなかったパンがあるけれど、取り出す手間が惜しい。
残る手札は、駄菓子の入ったビニールだ。
ヒーローがこれを狙って僕の後ろに留まっているのならば、この手札は切り札と言っていい。
ごくりと唾を飲み込む。
袋の中には、うまい棒が三本と粉っぽいヨーグルトが一つ。
この駄菓子が僕の逃げる時間を稼げるのか、これは……賭けだ。
ビニールの持ち手に通していた手を抜き取り、口をぎゅっと握る。
黒服の頭上を越えて、その向こうへ投げる為。そうすれば、ただ投げつけるよりも効果的に気を逸らせるだろう。
覚悟を決めた。
そして……振り向き様に思い切り駄菓子を投擲――――!
最初のコメントを投稿しよう!