ヒーロー見参! ただしボロボロ!

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思い出した。 言ってた言ってた。 委員長が隣の席で本当に良かった。 持ち物を確認。 ランドセルは鈍器さながらに重いけれど、筆箱や教科書、あとはノートぐらいしか入っていない。 聞いた話では、ヒーローの知識レベルは低いという。 教養の素を欲するとは、到底思えない。 給食袋には食べ切れなかったパンがあるけれど、取り出す手間が惜しい。 残る手札は、駄菓子の入ったビニールだ。 ヒーローがこれを狙って僕の後ろに留まっているのならば、この手札は切り札と言っていい。 ごくりと唾を飲み込む。 袋の中には、うまい棒が三本と粉っぽいヨーグルトが一つ。 この駄菓子が僕の逃げる時間を稼げるのか、これは……賭けだ。 ビニールの持ち手に通していた手を抜き取り、口をぎゅっと握る。 黒服の頭上を越えて、その向こうへ投げる為。そうすれば、ただ投げつけるよりも効果的に気を逸らせるだろう。 覚悟を決めた。 そして……振り向き様に思い切り駄菓子を投擲――――!
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