第三章 迷い込んだ霊

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    「こんにちは」  明路の前に立っていたそのお爺さんは軽く腰を屈めたまま、ゆったりとした口調で、そう言った。 「こ、こんにちは……」 と返しながら、明路は惑っていた。  えーと。  この人は……。  老人は、にこにことお地蔵様のように微笑んでいる。  これが道端なら、特に違和感はなかったろうが、此処は学校の廊下だ。  しかも、授業中。 「明路っ!」  強く抑えた声が自分を呼んだ。
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