3402人が本棚に入れています
本棚に追加
/1899ページ
「こんにちは」
明路の前に立っていたそのお爺さんは軽く腰を屈めたまま、ゆったりとした口調で、そう言った。
「こ、こんにちは……」
と返しながら、明路は惑っていた。
えーと。
この人は……。
老人は、にこにことお地蔵様のように微笑んでいる。
これが道端なら、特に違和感はなかったろうが、此処は学校の廊下だ。
しかも、授業中。
「明路っ!」
強く抑えた声が自分を呼んだ。
最初のコメントを投稿しよう!