第三章 迷い込んだ霊

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 凄い勢いで教室から出て来た由佳が自分の腕を掴む。  そのまま、老人から離れた階段近くまで、引きずっていかれた。  由佳はこちらの両腕を掴んで、子どもに言い聞かすように言う。 「明路。  知らない人に付いてっちゃいけないって習わなかったのか?」 「いや、  付いてってないし。  そこに居ただけ」 と言いながら、如何にも無害そうな老人を指差す。  老人は腰を屈めたまま、辺りを見回している。  何かを探すようなその仕草が気になり、つい、凝視していると、背後から由佳に頭をしばかれた。
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