第三章 迷い込んだ霊

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「ぼ……」 「爺さん」  愛想のいい老人が何を言おうとしたか察して、その言葉を塞ぐように言う。 「いいから、ちょっと来い。  おぶってやるから」 とそこにしゃがむと、老人は笑い、 「別に霊なんじゃから、膝も腰も悪くないわい。  屈んでるのは生前の癖でなあ。  あんたも、死んでも、その癖が出……」 「いいから、来てくれっ」  しまいには、懇願するように言っていた。  明路が何をやっているんだというようにこちらを見ている。
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