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こんなものが死んでまで出てたまるか、と思いながら、爺さんを背中に背負って、明路のところまで戻る。
「あ、背負えるんだ?」
と言った明路に、こいつ、やっぱり霊だとわかってるな、と思った。
「明路。
今日、あの時計持ってる?」
と訊くと、彼女は首を振る。
内心、舌打ちしていた。
もっと常に身に付けるものにすべきだったと思う。
「そういう日もあるわよ」
そう言った明路の言葉に、何故か慰められている感じがして、複雑な気分になった。
明路の言う『そういう日』とは、時計がなくても見える日、という意味だろう。
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