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「また出たな」
と由佳は呟く。
それは目の前に出現した夜の村のことだろうと明路は思った。
旧校舎に入ったはずなのに、眼前に広がる光景は、何故か、あの廃村らしき場所だった。
振り返った由佳は、
「四条は何処へ行った?」
と訊いて来る。
「はぐれたみたい。
四条くんは、ちゃんと旧校舎に出たんだったらいいんだけど」
その可能性はなんだか薄い気がする。
だって、同時に由佳の結界で歪んでいる旧校舎に入り込んだのだから。
共に別の世界に進んでしまったと見る方がいいようだ。
「私たちとはぐれても、旧校舎なら、先輩がなんとかしてくれたんでしょうにね」
と言うと、由佳はかちんと来たようにこちらを見た。
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