第十六章 鏡

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    「また出たな」 と由佳は呟く。  それは目の前に出現した夜の村のことだろうと明路は思った。  旧校舎に入ったはずなのに、眼前に広がる光景は、何故か、あの廃村らしき場所だった。  振り返った由佳は、 「四条は何処へ行った?」 と訊いて来る。 「はぐれたみたい。  四条くんは、ちゃんと旧校舎に出たんだったらいいんだけど」  その可能性はなんだか薄い気がする。  だって、同時に由佳の結界で歪んでいる旧校舎に入り込んだのだから。  共に別の世界に進んでしまったと見る方がいいようだ。 「私たちとはぐれても、旧校舎なら、先輩がなんとかしてくれたんでしょうにね」 と言うと、由佳はかちんと来たようにこちらを見た。
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