第十六章 鏡

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「あのストーカーを頼りにしてどうすんだ。  あいつがすべての元凶じゃないのか?」 「本当にそう思ってるの?  一度、事件を頭から見直してみた方がいい気がするの。  やっぱり、全員の記憶を戻してみたらどうかしら」  だが、由佳は何故か前を向いたまま、片手で髪をかきむしっている。 「……まさか。  戻せないとか?」 「戻せないなんて言ってねえだろ。  俺の記憶もちょっとおかしい気がして」  怖いだけだ―  ぼそりとそう言う。  ちょっと可愛らしい気もしたが、そんなことを呑気に思ってはいられない。
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