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死を……悟った。この不気味な少女達にこれから殺されるに違いない、と。
もはやそれに抗う気力すら、残っているのかすら透流自身には判らない。
精神を磨り減らされ、肉体を疲弊させられ、心身共に極限状態の自分に……もうこの場を凌ぎ切れるのはほぼ不可能。
透流は膝を付いた。この子達はきっと、する気にもならない懺悔の時間すら与えてはくれないんだろう。
ペタ……ペタ……とあちこちから死神の足音が聞こえてくる。
うち一人が、透流の懐に到着した。そして――
「うぐぼぁッ!?」
肺の辺りに、その容姿には似つかわしくないほどの強烈なパンチが跳躍と共に繰り出された。
仰け反りながら立ち上がり、咽る。鳩尾でなかった分衝撃は軽かったのだが、それでも一撃で肋骨の一本折れそうな威力だった。
「ちょっ……タン、マ……!」
ふざけてはいなかった。ただ無意識の内にそれを口走る。そう言っても、この子達の手は止まらないのを半ば理解していたのに。
また別の少女が助走を付けて右肩を殴る。それを受け左へ吹き飛ばされると、そこで待っていた少女数人から袋叩き……それの繰り返し。
まるでボールのようにあっちこっちと投げられる。立ち上がる気力が残っているのが不思議なくらいだ。まだ死を受け入れられない自分がいることに、透流は心のどこかで嘲笑する。
少女達は何処までも無表情のまま、透流の体に傷を増やしていった。その手を休めることは決してしない。
打撃による内部破壊か、喉の奥から湧き上がる鉄臭い味を吐く。
「もう……駄目、だ……っ」
次第に霞んでいく意識が繋ぎとめていた記憶。それが完全に途絶える。透流の意識は最後に後頭部にくる衝撃で、とうとう闇へと堕とされた。
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