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「――げべゴっ!?」
やがて数回のバウンドの後に、一本の木に衝突して完全に速度を失う。少女はずかずかと透流の転がっている位置まで踏み寄ると、徐に胸倉を掴み、軽々と透流の体を持ち上げた。
「起きろッつってんだろ、さっさと目ェ覚ましなさいよ! それと、他人の身体的特徴を指摘して馬鹿にするその腐れた根性矯正してあげるから覚悟しなさいッ!」
「ふぁ……ッ!? なっ、ななな何事かわ判らないけど、何かごご御免なさい許して下さいぃぃ!」
少女の腕力で体をブンブン揺さぶられながら、状況を一切把握出来ていない透流は静止の意を含めて叫ぶ。
「ふんっ! まぁいいわ。……永瀬、これ以上余計な時間を裂くのも面倒だから単刀直入に言うわ。落ち着いて聞いて欲しいんだけど……」
少女は透流の胸倉から手を離し、一呼吸入れてから永瀬を見上げた。
「あんた、私の『使い魔-サーヴァント-』になったの、以上」
「…………」
透流はその言葉の字面が理解できずフリーズした。言葉の意味を理解すると、今度はそれを自分に当てはめて考えることが出来ずまたもやフリーズ……
「はっ……はぁぁぁぁあああァアア!?」
結局透流がその言葉を受け止めて言葉を発したのは、たっぷり一分強経ってからのことだった。
「ほら、あのままだったら死んでたし。何と言うか、事情が変わったっていうか」
「いや、つーか……はぁあ!? ェ、ぁ~……う~ん。えぇぇえええ!?」
何かを言い返そうとするが、透流の口から出てくるのは是非も無い意味不明な単語の羅列だった。ジェスチャーなんてものを交えている分非常にシュールな光景である。
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