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ゾアから視線を離さないで言う。
文月「こんなやり方は俺には合わねぇ………」
俺が気付かないうちに光りの色は濃く、輝きは大きくなっていた。
文月「一回ダメだったらもう一回やればいい。それもダメなら諦めずに何回でも殴ってやる。…………………魔力壁なんて俺がぶち壊してやるよ!」
ようやく体が光っている事に気が付いた俺はとりあえずゾアに向けて右手を突き出した。
すると体中の光りが右手に集まり始めた。
文月(やべぇ…………なんか強力な技とか出そうな雰囲気だ)
大きく開いた右手の手の平をゾアに向ける。
右手首を左手で支える。
文月「いっけぇ!!!」
しかし光りは右手から放たれなかった。
むしろ大きくなるばかりだった。
文月「え?おい!ちょっと待て!?」
右手で膨れ上がった光りはそのまま破裂してしまった。
その衝撃で俺は尻餅をついてしまった。
文月「そんな…………」
光りを失った今まで通りの右手を見直す。
ゾア「ははっ、慣れない事はするべきではないですね」
ゾアはまたさっきの黒い球体を作る時の体制をとっていた。
文月「しまっ…………!?」
ゾア「もう遅いですよ!」
尻餅をついたままの俺は手を顔の前でクロスさせて守る事しか出来なかった。
これはくらっちまったよな…………
俺は目を閉じて衝撃を待つことしか出来なかった。
ボシュゥ!
ゾア「なっ!?」
文月「………………?」
右手に何かが当たった感触はあった。
しかし衝撃はいつまで経っても来なかった。
恐る恐る目を開けると、驚いているゾアはいたが、黒い球体はどこにも無かった。
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