~1st GAME~

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文月「あんだけ綺麗にパンチが入ったんだ。お前の右腕は痺れてあがらねぇよ」 ゾア「まさか………麻痺系のスキルですか?」 魔法やスキル、エフェクトに慣れるとこんな些細な事もそんな風にとらえちまうんだな。 文月「ただの肩パンだよ。威力と痛い位置は喧嘩慣れの物だけどな」 俺は右肩を軽く回しながら言う。 ゾア「くそっ!上がれ……動け!」 左手で強引にあげようとした。 しかし思いは届かずに、腕は上がらなかった。 文月「さてと…………」 右手を握りしめた俺が小さく呟くとゾアは体を強張らせた。 距離はたったの5m弱。 文月「今のお前は自信のある魔法は使えず、片腕じゃろくな防御すらできねぇわけだ……………」 ゾア「くっ!」 俺は再びゾアへと駆け出す。 ゾア「まだです………まだ魔力壁があります!」 走りながらそれを聞いた文月はなんとも思っていなかった。 文月(違う………お前にはもう魔力壁しか無いんだよ) そう、これはすべてゾアに魔力壁を使わせるための段取りだったのだ。 せっかくガードを崩したのに顔や横っ腹を狙わずに、わざわざ肩を選んだ。 すべてはこの右手の秘密を知るためだけに。 文月(これでこの右手が魔力壁を打ち破ってゾアを殴る事が出来た時は……………それが正真正銘、この世界での俺の力だ!) すでに魔力壁を作ったゾアはその場に立ったままだった。 距離を縮めた俺は、拳を振りかぶりながら走り幅跳びの様にゾアに向かって飛び込んだ。 文月「これで…………ゲームオーバーだ!」 俺の握りしめた右手は魔力壁を砕くように打ち破り、そのままの勢いでゾアの顔をとらえた。 ゾアは吹っ飛んで地面にたたき付けられた後、さらに残った勢いでゴロゴロと転がった。 Critical Hit! 『KO! 文月Win!』 文月「これが俺の力だ!」
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