41人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
~そして再び寮の部屋~
部屋に戻って、改めて部屋の中を見渡してみる。
殺風景だった………学習机が二つ、窓際に寄せられて並んだベッドが二つ、トイレ、風呂、クローゼット、大きめの机が部屋の中心に一つ、キッチン。
仮にも常盤は(本人いわくだが)女子だ。
ぬいぐるみの一つくらいあってもいいところだろう。
常盤「女らしい物がなんもないだろ?」
文月「ああ……………そうだな」
部屋にあった椅子に腰を下ろした常盤も部屋をゆっくりと見渡した。
常盤「そこの荷物は多分お前のだろうからまとめてくれ」
文月「荷物?」
扉の近くにはダンボールが二つ置かれていた。
ダンボールを一つ開けるとそこには…………
文月「…………………………………」
常盤「どうした?」
文月「お気に入りの抱き枕が入ってた」
長方形の長い水色の抱き枕…………前の世界で使っていた物だ。
しかもこれだけでダンボール一つ終わっちゃったし…………
もう一つのダンボールには寝間着や私服などの衣類が入っていた。
常盤「……………まあとりあえずこのゲームが終わるまでルームメイトだ、よろしくな」
文月「よろしく」
常盤「ベッドは窓際の方を、机は扉側の方を使ってくれよ。
それじゃ先に風呂入れてもらうな」
文月「あ、ああ、分かった」
完全に常盤のペースだなぁ…………
まあ前からこの部屋にいたんだ、それくらいなら別にいいか。
俺は衣類をクローゼットに入れて、抱き枕を窓際のベッドに置き、学習机の椅子に座った。
文月「なんだこれ?」
学習机には筆箱や本などがあって、その中で一冊の本が目に留まった。
『説明書』
文月「説明書?この世界についてかなんかか?」
とりあえず読みはじめた。
説明書の中には様々な事が書かれていた。
スキルについて、魔法について、魔力壁について、各種ゲージについてなどなど、今日チュートリアルを受けたのがより詳しく載っていた。
説明書をペラペラとめくっていたら最後まできてしまった。
最後のページには一文が書かれていた。
『このゲームにクリアした者達には願いが一つ叶う』
文月「…………ま、俺はとくに欲しい物とか無いしな」
説明書を閉じて、常盤の出た後に風呂に入った。
最初のコメントを投稿しよう!