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文月を前に、常盤は笑顔を浮かべていた。
組み手とは言え、今まではやはり仲間同士とか、女子だからとの理由でお互いがお互いに手加減をしている部分があった。
少なくとも常盤もその一人だ。
しかし今は違う。
目の前にいる文月はたとえ相手が仲間であっても、性別が自分と異なった女子だとしても、歳が上でも下でも手加減を一切しない。
どうしてかは知らないが、これは事実だった。
常盤(手加減をしないか……………変だと思うけど嬉しい事だ)
私は待っていたのかもしれない…………仲間だの性別だの年齢などを言い訳にしないで本気でぶつかってきてくれる人を…………
文月は勝負となれば手加減をしない。
それが喧嘩ならなおさらだ。
だからと言って、幼稚園に行ってる様な小さい子に腕相撲をしようと言われたから手加減無しで勝つほど文月は非常識では無い。
そういった場合はしっかり勝ちを譲る常識人だ。
じゃあ何故、喧嘩では相手が誰でも手加減をしないのか。
そんなのは簡単だ。
手加減をした相手に失礼だからだ。
戦っている相手がたとえ本気ではなくとも、文月は全力で相手を捩じ伏せる。
それは今まではやってきた事だし、これからも変える気はさらさら無いものだ。
もし自分が手加減をして相手に勝っても後味が悪いし、相手は本気じゃ無い敵に負けたと不快に思うはずだ。
だから文月は手加減はしない。
どんな相手に勝っても、『やっぱり文月は強い』や『次は勝つ』と思われる存在になるために。
どんな相手に負けても、『今より強くなって必ず勝つ』と思えるために。
文月「さてと………そろそろ攻めに入るかな」
俺は常盤に向かって一歩前へ出た。
スキル紹介
『削除』(デリート)
文月のもう一つのスキル。
発動は右手限定で、右手に触れた魔法、スキルは問答無用で掻き消せる。
しかしそのせいで本人も魔法が使えなくなってしまうが、文月は想像製作(イメージメイク)のおかげでなんとか使える。
ただ触れれば掻き消せる訳では無く、雛祭花火の『物質感知』(センサー)なども無意識のうちに無効化させてまったり、効かないスキルなどもある。
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