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文月(砂かけは卑怯だけど、ぶっちゃけルールとか無いしな)
文月は視界を奪った常盤の後ろに回り込み、右手を当てないように攻撃した。
右エルボー、左パンチ、膝蹴りなどが常盤に直撃した。
常盤「ぐぅっ!」
やっとの思いで目を開けた常盤は、文月に背を向けたまま裏拳を振った。
文月(ちっ!避けられねぇなこれは)
そう判断した文月はすぐさま右手で常盤に触れた。
パキィン!
文月の右手が常盤に触れた瞬間に、歯車活性(ギア)が発動してる目印になる、常盤の体の薄い黄色の光りが消えた。
しかし常盤が振った裏拳は文月のこめかみに直撃した。
文月「っつ!」
そのまま文月はふらつくように常盤と距離をとった。
桐原「自分が攻撃する時にはギアを消さずに少しでもダメージを高めて、自分が避けれないと思ったらデリートでギアを消して最小限に止めるか」
的場「うわっ、今のでトッキーの体力ゲージがかなり減ったぞ」
体力ゲージを見ると、常盤はあと半分を切っている。
文月「………よし」
常盤「ぐっ…………やるじゃん」
さっき膝蹴りが当たった脇腹を押さえながら向き直る。
常盤「こっちも行くぞ」
両手を前に出した常盤は、手から火の球体をだした。
フレイムボール、常盤が始めて俺に見せてくれた魔法だ。
それをいくつか作り出して、常盤は構えた。
文月(来る!)
身構えた文月を狙い、常盤は一つの火の玉を殴り飛ばしてきた。
しかし火の玉はさほどスピードがある訳では無い。
右手のデリートで火の玉を握り潰すように掻き消す。
同じように火の玉をいくつかまとめて飛ばしてきたが、文月は最初と動揺に全て打ち消す。
常盤の手元にはまだ5つの火の玉が浮いている。
ただむやみに打ち込んでくるだけで策は無いのか?
そんなはずは無いと思うけ…………
文月「…………がっ!?」
いきなり頭部に痛みが走った。
頭上から常盤の火の玉が落ちてきたのに直撃したのだ。
文月にはどんなスキルでも魔法でも掻き消すスキルがあるが、所詮それは右手に触れなければ効果は発動しない。
文月(くそっ……………火の玉消すのに気をとられてて気付かなかった)
目だけで常盤を見たら、すでに手元の5つの火の玉を殴り飛ばしていた瞬間だった。
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