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常盤(…………来たっ!)
駆け出した文月を見て、常盤は身構える。
しかし今度はガードではない。
常盤も攻撃に出る構えだった。
ここまできたらもう受け身にはならない………………同じように攻めるだけだ。
右手を振りかぶった文月が近くまできた。
常盤はカウンター気味のストレートを文月に打ち込んだ。
しかし常盤の拳は当たらなかった。
文月は常盤がストレートを打つために構えをとった瞬間に、振りかぶっていた右手を常盤に当たりもしないタイミングで思いっ切り振った。
右手を振った勢いを殺さずにそのまま身を屈めてストレートを回避したのだ。
今の形は文月が常盤の懐に潜り込んでいる。
文月「おぉぉぉぉぉぉぉらぁぁぁ!!!」
肺に溜まっていた空気を全て吐き出すように叫びながら、肩からのタックルをした。
ゴッ!
タックルは確かに当たった。
しかし常盤は吹っ飛びもしないし、ましてやダメージすら受けていない。
魔力壁
常盤は最後に残しておいた魔力をここで使ったのだ。
しかし、文月は笑っていた。
まるで魔力壁でガードされるのが初めから分かっていたかのように、大きく開いた右手を突き出す。
文月が放った掌底は、魔力壁を打ち破り常盤の顎をとらえた。
常盤「ぐっ!?」
無理矢理上を向かされる体制になった常盤。
その体制で突き出た腹に左手でボディーブローを打ち込んだ。
今までポケットに入れていた、魔光石を取り出し、握り締めた左手を。
文月「これで…………ゲームオーバーだ!」
魔光石を握り締めた左手は光りを放ち、左手を赤く染めた。
アッパー気味に繰り出したボディーブローが直撃した瞬間、左手の赤い光りが炎の爆発を起こした。
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