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星野「うぐっ!?」
拳は星野の胸元に直撃した。
大きく後ろに吹き飛んだ星野は、背中を地面に打ち付けた後に転げ回った。
星野「ごほっ!がっ……………!はっ!」
文月「偶然とは言え当たり所が良かったな」
胸元に当たった拳は、肺の空気を全て出し、さらに気管が衝撃によって一時的に麻痺して呼吸が上手く出来なくなっていた。
星野「はぁはぁ…………………やっと息が出来る」
文月「あれを喰らって立ち上がるかー、お前タフだな」
星野「そんなことないですよ…………そもそもとんでもない攻撃力ですね」
ふらつきながらも立ち上がった星野は身構える。
星野「やられっぱなしは嫌ですからね」
すると星野はゆっくりと両膝をついて、まるで祈りをするかのように両手を握り、目を閉じた。
星野「『星の降る夜』」
技名を言った瞬間に上空に黒い渦が出来た。
文月「なんだあれ」
上空とは言えそこまで高い所にあるわけではないが、さすがに削除(デリート)が届く高さでは無い。
ビシィンッ!
文月「えっ?」
黒い渦から光る何かが見えたと思ったら、物凄い勢いで小さな星が落ちてきた。
文月「やばっ……………………!」
次の瞬間に、数えきれない小さな星が一斉に降り注いで来た。
右手で頭をかばっているので、頭に衝撃は来ないが、体中には所々に激痛が走る。
文月は転がるように黒い渦の下から出る。
どうやら黒い渦は動かないらしく、もう星は当たらなかった。
文月「くそっ、痛ってー…………」
飴玉のような固さとサイズでも勢いが強ければそれはもはや凶器だ。
星野「では、そろそろ必殺技使っちゃいますよ」
やみくもに飛び出た場所が最悪で星野の目の前に出てしまったのだ。
文月「マジかよ!」
すぐに離れようとしたが、間に合わなかった。
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