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「翼ー!!」
「あ、圭人……。」
次の日の昼休憩。
今日も懲りずにキーホルダーを貰う為に翼の教室に行くと、目に見えてそわそわとしている翼がいた。
いつもとは違う不審な姿に疑問を思ちながら近づいてみると、翼はびくっと体を震わせてこちらを向いた。
その目はきょろきょろと落ちつきなくて、視点が定まることはない。
「どうかした?」
「いや、なんでもない……。」
上擦った声でそう返ってくるけど、明らかにおかしい。
翼とは小学生の時からの仲だけど、今までにこんな姿は見た事は一度もなかった。
「困りごと?」
「いや、あの……。」
意識しなくても自然と盛り上がる会話も今日はすぐに途切れてしまって、何となく気まずい雰囲気になる。
居心地の悪さを感じて、一刻も早くこの場所から立ち去りたくなった。
「つ、翼ー!ちょーだい!」
だからいつものやり取りをさっさとすまして早く教室に帰ろうと、364回目になる言葉を言う。
「……いいよ」
「……え?」
すると聞きなれない言葉が返ってきて、思わず聞き返してしまう。
「だから、いいよ」
しかし繰り返されたのはさきほどと同じもので。
あまりの欲しさについに幻聴がしたわけではないことが分かって、ぐわっと一気に感情が昂ったのが分かった。
「まじで!?翼、愛してる!!!!!!!」
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