今以上これから未満

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なんだよこれ…… 目の前が真っ暗 何も見えない。 さっきのは体育館照明のスイッチだったのか? ガシッ 何者かに腕を掴まれた。 闇への恐怖心が更に高まり必死に抵抗する。 「なにしやがんだ!」 「離せコらァ!!」 みんな誰かともめている。 多分俺も含め警察官が何かしようとしている。 ふざけんなよ てめぇらなんかに…… バァーン! 狭い体育館に銃声が響いた。 この空間には合わない不協和音。 まるで都会の中心で、オオカミの遠吠えが聞こえたようなそんな感覚。 体が凍りつく。 なんなんだよこれ…… 警察官はこの一瞬を見逃さず俺の両手に何かを付けた。 そして左手首には寸胴のような腕輪が付けられる。 ちっ 動かねぇ 両手に付けられた物は大体予測がつく。 以前にもこの感覚を味わったことがある。 このひんやりとした鉄の冷たさ。 手錠に間違いない。 だが左手首につけられた物は全然検討もつかなかった。 パァン ラップ音のような音がした後、電気が一斉に点く。 直ぐに腕を確認する。 間違いない 手錠だ それと…… これはなんだ? 「うわぁあぁああ!!」 「だ…誰か救急車呼んでくれ早くっ!」 中央付近から悲鳴が聞こえてくる。 まさか…… 直ぐ様駆け寄った。 人が円で囲むように輪になっている。 その中心には 死体。
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