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お伽噺に出てくる様な大きな屋敷。
趣味のいい構えの煉瓦造りの門の前に一台のワゴン車が横付けした。
おおよそこの屋敷には不釣り合いな外観の車には「東京綜合セキュリティ」のロゴマークが入っている。
車から降りた榎本は門の前でインターホンを押した。
「東京綜合セキュリティから参りました榎本です」
しばらく待つとインターホンから静かな口調で返事が返って来る。
『お待ちしておりました。
只今門をお開け致します。
しばらくお待ち下さいませ』
榎本が門の前で立ち尽くしていると、黒い燕尾服姿の眼鏡をかけた男が鍵の束を持ち駆け寄ってきた。
鍵の束から一本を選ぶと、それを門の鍵穴に射し込み解錠する。
しばらく待つと門が内側に開き、榎本はやっと敷地に入る事を許された。
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