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執事が人当たりのいい笑顔で榎本にソファーに座る様に右手を下げる。
榎本は微かに頷きながらソファーに腰かけた。
執事は彼の傍らに立ったまま、テーブルの上にそっと箱を置いた。
「これは…オルゴールですか?
鍵つきなんて、珍しいですね」
「左様にございます。
これは私が現在お仕えしております、宝生グループのご令嬢であられます、麗子お嬢様のお誕生日に合わせてお造りになられたオルゴールなのですが…」
そこで執事が言葉を切った。
榎本がオルゴールから視線をずらし、執事の顔を見る。
執事はとても悲しげな表情をしていた。
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