この鍵を開ける方法を僕は知らない

無愛想で不器用

彼が不器用ながらも自分を励ます為に話題を変えて、無愛想ながらも苦手であろう恋愛話を持ち出したのだとすぐに気付いた。

「…ぷはっ」

気持ち悪そうに唇を歪める榎本が何だか可愛らしく思えてしまい、吹き出してしまった。
それを感じてか榎本がパソコンから顔を上げる。

「…何が可笑しいんですか」

「す、すいません…くくっ」

込み上げる笑いを抑えきれず、腹と口を同時に押さえて身体を震わせる。

それを目の当たりにした榎本は憮然を絵に描いた様な表情でパソコンの電源を切った。