無愛想で不器用

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「青砥さん」 錠前を弄る手を止めて、自分の肩越しに自分の手を見つめる青砥の名を呼ぶ。 青砥はそれを受けて榎本の背後から正面に移動して彼の顔を覗き込もうとするが、彼の視線は依然として手元の錠前に向けられており一度も彼女を見ようとはしない。 「僕には鍵しかありません。 鍵を開けたり、閉めたり、セキュリティの解錠の方法を夜通し考えたり、新しいセキュリティを考えたり。 本当に鍵の事しかないんです」 いきなり早口で捲し立てる榎本に青砥は「はぁ」と小さく相槌を打つのみだ。
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