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「えっのもっとさーんっ」
埃っぽい備品庫には不似合いな明るく快活な女性の声が響く。
この部屋の主である男、榎本径はイヤホンを外して後ろを振り向く。
そこには高そうな紙袋を手に提げた新米弁護士、青砥純子と彼女の上司である敏腕弁護士、芹沢豪が立っていた。
「何かご用でしょうか」
本当なら彼女の来訪が心踊る程に嬉しい癖に、それを面に出す事なく榎本はいつもの無表情で彼らを出迎えた。
「この間の事件解決のお礼ですっ」
じゃーん♪と言いながら青砥が紙袋から小さな箱を取り出す。
蓋を開ければ中には宝石の様に美しい装飾が為された一口サイズのチョコレートが鎮座していた。
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