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またか……。
李織はそう思った。
歩いてきている奴にばれないように横目で見ながら李織はその場を去ろうとする。
「……?」
だがすぐに足を止めた。歩いてきている奴の雰囲気が他の奴等と違うのだ。
あぁ、コイツ、何の未練もないのに此処にいる。
李織にはすぐ感じ取れた。普通ならば黒いオーラを纏う奴等だ。なんのオーラも纏っていないあの幽霊は憎しみも悲しみも背負っていない。
だんだんと近くなってきてその幽霊が泣いているのが分かった。涙を流しながら俯いて歩いている。不図、その幽霊と目があった。幽霊はハッとして顔を上げ、李織を見つめる。
「俺が、視えるのか?」
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