トリックスター

3/9
前へ
/9ページ
次へ
こいつ、なんだ エレベーターから降りようとして、ガキの右へ行くと右へ 左へ行くと左へと邪魔をする。 『どけ』 時間が無い ガシャン! 奥のドアが開き、慌てた様子で人が飛び出して来た。この組の若頭で良く知る顔だ 眼が合ってしまった ……遅かったか 『藤本ぉぉお!そのクソガキ捕まえろ!!』 目的に気が付いてない 俺の名前を大声で呼ぶ 『んもぅ、うるさいなぁ。組長、死んでないから良いでしょ?』 ガキは手をパンと一度叩く その瞬間、眼が霞み景色がモヤに包まれた マブタを擦り眼を開けると ガキの後ろ姿を見ていた。 その向こうにエレベーター、中には若頭。 何故か若頭と俺の位置が入れ替わっていた 『バイバイ』 ガキが若頭に向かって手を振るとエレベーターのドアが勢い良く閉まった 『出せ!ガキがぁ!』 エレベーターの中から若頭のドアを叩く音、叫ぶ声が篭り虚しくホールに響く 『おじちゃん、帰りな。ここの組長なら気を失ってるから』 .
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加