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こいつ、なんだ
エレベーターから降りようとして、ガキの右へ行くと右へ
左へ行くと左へと邪魔をする。
『どけ』
時間が無い
ガシャン!
奥のドアが開き、慌てた様子で人が飛び出して来た。この組の若頭で良く知る顔だ
眼が合ってしまった
……遅かったか
『藤本ぉぉお!そのクソガキ捕まえろ!!』
目的に気が付いてない
俺の名前を大声で呼ぶ
『んもぅ、うるさいなぁ。組長、死んでないから良いでしょ?』
ガキは手をパンと一度叩く
その瞬間、眼が霞み景色がモヤに包まれた
マブタを擦り眼を開けると
ガキの後ろ姿を見ていた。
その向こうにエレベーター、中には若頭。
何故か若頭と俺の位置が入れ替わっていた
『バイバイ』
ガキが若頭に向かって手を振るとエレベーターのドアが勢い良く閉まった
『出せ!ガキがぁ!』
エレベーターの中から若頭のドアを叩く音、叫ぶ声が篭り虚しくホールに響く
『おじちゃん、帰りな。ここの組長なら気を失ってるから』
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