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「梵天丸様、丁度良い竹を持って来ましたよ」
元服し、梵天丸様は政宗様となったのだが、
俺は公の場以外ではいまだに梵天丸様と呼んでいる
「帰って来たっ!」
「小十郎!!」
梵天丸様は飛んで走って来る
「これ!水入れにピッタリの竹だな!」
「ありがとう!小十郎!」
頼まれて持ち帰った竹を、梵天丸は両手に持ち、にっこりと満足げに笑う
「私が留守にしている間、きちんと勉学に励んでおられましたか?」
俺は微笑み聞く
「…ちゃんとしていたぞ!」
「今日は成実と剣術稽古した!」
「俺が勝った!!」
えへんっ!と、体を大きくさせる
勉学の事を聞いたのだが、剣術の事を話す梵天丸様
それも子供らしくて可愛らしい
「さようで」
俺は微笑み、答える
「では、後ほどお手並みの程を拝見致しましょう」
梵天丸様の前に正座する
「ああ、いいぞ!」
「でも!
先にこっちを作ってくれっ!!」
俺の隣に座り、竹を差し出す
幾日か離れていたからか、梵天丸様は甘えているように見える
「分かりました」
隣で可愛らしく言う梵天丸様に笑いかけ、竹を受け取る
竹の節目の下を丁度良い長さで切り、
両側に穴を開け、下げ縄を通す
「出来ましたよ
後で竹に合わせた蓋を作って参ります」
梵天丸様に差し出す
「すごいな!
小十郎は器用だな!」
出来上がった竹筒を眺め、梵天丸様は嬉しそうに言う
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