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「喜んでもらえて何よりです」
「私は子供の頃、独りで過ごす事が多かったので、
よく何かを作ったりしていたものですから…」
「笛も自分で作ったのだったな」
梵天丸様
「はい」
「お前の笛、大好きだ!」
梵天丸様は両膝を付き、座っている俺と同じ目線で、くったく無く笑う
「また聴かせてくれよ!
小十郎!」
「はい」
梵天丸様を見、微笑む
姉の喜多が廊下を通る
俺と梵天丸様に気付き、部屋の入口に正座する
「小十郎、戻ったのですね」
俺が返事をするより早く、
梵天丸様は姉に駆け寄る
「喜多!見てっ!」
梵天丸様は、姉の膝にちょんと座る
「小十郎が作ってくれた!」
竹筒を見せる
姉は、
「それは、よう御座いましたね」
竹筒を手に取り、
「よく出来てます
戦のおりには、この竹筒をお持ちになり御出陣なされませ」
梵天丸様の養育をした姉は、
膝に座る梵天丸様に、少しも違和感無く接する
「戦…」
梵天丸様
「そうですよ、政宗様…」
姉は、梵天丸様を見つめ、微笑み言う
「初陣のおりには、是非ともお持ちなされませ…
小十郎も喜びます」
「うん!」
満面の笑顔の梵天丸様
姉は俺を見、
「小十郎…」
立ち上がりかける
俺は梵天丸様に
「失礼致します」
声を掛け、姉の後を追う
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